鬼ノ城「歴史がいまだ解明されていない謎の山城」

日本100名城のひとつ。

鬼ノ城は文献資料には記されていませんが、後世の文献である鬼ノ城縁起などにでてきます。

「異国の鬼神が吉備国にやって来た。彼は百済の王子で名を温羅(うら)という。彼はやがて備中国の新山(にいやま)に居城を構え、しばしば西国から都へ送る物資を奪ったり、婦女子を掠奪したので、人々は恐れおののいて「鬼ノ城」と呼び、都へ行ってその暴状を訴えた・・・」。
※温羅伝承と呼ばれる説話

古代山城で、日本でも珍しい神籠石式山城(こうごいししきやましろ)です。
古代の西日本(主に九州北部)に築造された遺跡で、文献資料に記されておらず遺構でしか存在を確認できない山城のことを指します。

現在では、鬼ノ城はその歴史は解明されずに謎のままです。
史跡の調査や整備を行い、復元された西門から望む風景は町並みを一望できます。復元の過程や遺跡が出土した時の様子を紹介した「総社市鬼ノ城ビジターセンター」がありますので鬼ノ城に行く前に立ち寄ってみるのもいいかもしれませんよ。

鬼ノ城の構造と規模

鬼ノ城は、すり鉢を伏せたような形の山で、斜面は急峻だが頂部は平坦である。この山の八合目から九合目にかけて、城壁が2.8kmにわたって鉢巻状に巡っている。
城壁は、一段一列に並べ置いた列石の上に、土を少しづつ入れてつき固めた版築土塁で、平均幅約7m、推定高は約6mもある。要所には堅固な高い石垣を築いており、その威圧感は天然要害の地であることとあわせ、圧倒的な迫力をもっている。このように、版築土塁や高い石垣で築かれた城壁は、数m~数十mの直線を単位とし、地形に応じて城内外へ「折れ」ていることに特徴がある。
城壁で囲まれた城内は比較的平坦で約30ヘクタールという広大なもので、4つの谷を含んでいるため、谷部には排水の必要から水門が6ヶ所に設けられており、また、出入り口となる城門が4ヶ所にある。城内には、食品貯蔵庫と考えられる礎石建物跡やのろし場、溜井(水汲み場)もある。
この他に城内には貯水池とみられる湿地が数ヶ所ある。さらに兵舎、各種の作業場なども予測されるが未発見である。

総社市HPより

鬼ノ城の散策コース

城壁に沿って整備された全長2.8kmのウォーキングコースがあるのでゆっくり見て回れます。
忙しい方は西門で景色を見て下さい。
時間は駐車場からスタートして2時間くらいかかるかと思います。

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訪問時の注意点
車での来城は、途中の道が大変狭いので十分注意して下さい
雨天は足元が滑るので注意です、ハイキング感覚ですがスニーカーは滑って危ないので登山靴の方が良いかもです。

鬼ノ城を訪れました。

温羅伝説では外せないスポット「鬼ノ城」、温羅に興味がある方は是非訪れて下さい。

鬼ノ城は山頂付近まで車で行くことができる山城です。
途中道が狭いので気を付けて下さいね。。

看板の反対側に駐車場がありますので、そこに車輛をとめて散策コースにいきます。
普通車でいうと30台くらい止めれるスペースがあるので人がいなければゆったりと止める事ができます。
※駐車料金は無料です。

ちなみに管理人が訪れた際には、車両の数も少なく快適に止める事が出来ました。
日曜日に訪れたのですが、下の砂川公園で遊んで行ったので時間帯は夕方くらいです。

鬼ノ城ビジターセンター。

平成17年8月にオープンした施設
時間があれば鬼ノ城を事前に学習していきましょう。
鬼城山ビジターセンター(無料)には映像や展示品をみておくと城の構造・復元された建物やその様子などがわかって実際にみる面白さが増します。

鬼城山の山頂へはここから徒歩約600メートルほどです。
遠いと感じるか・・・、近いと感じるか・・・
高低差はあまりありません。
個人的には散歩感覚です。
夏はペットボトルか水筒の用意を忘れずに!散策の時間は意外とかかります。。

いざ西の門へ

西の門を下から望む

西の門程ではないですが、最初のパノラマビューです。
鬼ノ城を下から望みながら総社市を展望する。景色を見たい気もするけど早く西の門に行きたい気もする・・・、気持ちのせめぎあいです。

10分程景色を眺めて、いざ西の門へ出発です。

西の門です。

土壁に近ずいてきました。
西の門まであと少しですね。

西の門到着

化粧の土壁仕上げは立派な物ですね・・・随分費用が掛かった気がします。
※ロマンスにお金の話は禁句ですね(笑)

門の上部の文様は温羅をイメージしているのでしょうか。
何か意味があるのですかね。。
鬼ノ城ビジターセンターに立ち寄っていればわかったかも・・・

盾の説明を見つけました。。

ビジターセンターの資料館カウンターに盾についての説明資料があります。

鬼ノ城の盾:盾は戦陣で、手に持ちまたは前方に立て、敵の矢・槍・銃丸・刀剣などを防ぐ武器で、実戦のほか儀式の装飾にも用いられました。
この盾の中央に描かれた「鬼面」は、奈良県藤ノ木古墳(六世紀後半)出土の馬具(鞍)に彫られた壁邪獣をもとに、坪井清足鬼城山整備委員会委員長が図案化されたものです。まさに鬼ノ城にふさわしい図柄です。

ここまでくればさらに景色が良いですね^^

復元してからは少し時間がたったのでしょうかね。
木部が時間の経過を表していますね。
メンテは課題でしょうね・・・、せっかく費用をかけて復元した建物も自然の荒々しさには負けてしまいます。
メンテが重要なんですが、中々回らないんでしょうね。。

門を抜けていきます。。

鬼ノ城の西門は間口が3間(12.3m)もある巨大な城門です。

設置看板より

西門跡
鬼ノ城は、四ヶ所に城門を設けています。
いずれも掘立柱(ほったてばしら)の城門で、通路床面に大きな石を敷き、床面と城門前面に2m近い段差を持つ(懸門(けんもん))ことを特徴としています。
西門は、南門と同規模の大型の城門で間口3間(12.3m)、中央1間を通路とし、2間の奥行をもち、12本の柱で上屋(うわや)を支えます。柱は一辺最大60cmの角柱を2mほども埋め込んでいます。
本柱に合わせたくり込み、方立(ほうたて)柱穴、軸摺(じくずり)穴、蹴放(けはな)しが一体的に加工された門礎(もんそ)をもつのは、鬼ノ城のもののみです。
西門は日本最大の古代山城大野城の大宰府口(だざいふぐち)城門(間口8.85m)をしのぐ、壮大堅固な城門です。
平成19年3月 総社市教育委員会

角楼跡の眺望がベスト

角楼跡の整備した展望スペースには満足です^^
頂上付近からの眺望は絶景ですね。

鬼ノ城に訪れて時間がない方はここまでは散策して下さい。せっかく来たのでこの景色をみないともったいないですからね。。

設置看板より

角楼跡
日本の古代山城では、初めて具体的に確認された特殊な施設です。中国の城郭でいう「馬面」、挑戦半島での「雉」に当たります。
ここは、尾根つづきで攻められやすいため、城壁の死角を補い防御力を高めることを目的として、城壁の一部を長方形(13×4m)に張り出しています。
角楼の下半分は、両側の石垣と同じように石垣積みで、ほぼ4m間隔で一辺50cmの6本の角柱が石垣の間に建っていたことがわかりました。
また、城内側には、この施設への昇降のための石段も設けられています。
しかし、この上に建物などがあったかどうかは不明です。最高所の鬼城山・西門と一体となって、強固な防御ゾーンを形成しています。
平成19年3月 総社市教育委員会

山の景色と街並みが見渡せます。

休憩舎

家族連れの方はここで休憩出来ます。
景色もよくベンチもあるので木陰でゆっくりして下さい。

時間がある方はここからがハイキングコースです。
右回り・左回りどちらでも行けますが、時間が1時間程はかかるので時間の余裕をみていってくださいね。

熱中症対策に飲み物は持参しましょう。

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注意
時期によりますが、山登りには危険な生物がつきものです。
ここも山ですので「マムシ」「スズメバチ」には十分気を付けて下さい。

いざ周囲巡りへ!

北門へ到着

北側に向かうほど眺望が変化してきます。
北門からの眺望は、他の門とは異なり山並みがメインとなります。

鬼ノ城パンフ解説より
「北門は鬼ノ城の背面(北側)に位置し、裏門にあたります。規模は間口1間(4m)、奥行3間(9.6m)の8本柱で構成されており、門礎には角柱を使用し他の柱は全て丸柱という特異な組み合わせでした。
床面の石敷中央には、場内からの流水を排水するため、石組みの排水溝が構築されています。
北門は鬼ノ城西門や南門に較べ小規模ですが、左右の城壁が扇のように展開していることや、城門の前に石垣を築いて谷筋からの進攻を防ぐなど、随所に防御効果を高めた工夫が認められます」

南門・東門・南門看板説明

設置看板より

南門跡(みなみもんあと)
南門は、間口3間(12.3m)、奥行2間(8.2m)の規模をもち、一辺55cm前後の巨大な角柱12本で上屋(うわや)を構成する大型の城門です。 
門の入口は2m近い段差を設けた懸門(けんもん)で、中央1間(約4m)を城内への通路としています。床には巨石を敷き、扉の据え付け開閉のために、丁寧に加工された門礎が両側に配されています。 
この城門は、細部の違いがあるものの、規模・構造ともに西門と同じくし、いずれが正門なのか興味をひかれるところです。
平成26年3月 総社市教育委員会

東門跡(旧第一城門跡)
鬼ノ城には、西、東、南、北門の四つの城門があります。
東門跡は平成六年度に、鬼ノ城で最初に発掘調査された城門跡で、その後の城門の調査に多くのてがかりを与えてくれました。
城門は掘立柱式で、柱は四本確認されていますが、他の城門の構造からみると六本柱であった可能性が考えられます。
扉の取り付く本柱は、大きな石の一部を弧状に加工していることから直径六〇センチの、丸柱であったことが判ります。間口三.・三メートル、奥行きニ・七メートル、扉間口は二・四メートルあります。
通路部の壁面は板壁であったと考えられます。門を入ると両側には扉状に開く石垣があり、正面には大きな自然の岩が入城をはばむかのように横たわっています。
城門の両側の土塁には、約三メートル間隔で計五本の柱穴が確認されました。城門の防備を意図した柵かと考えられます。
東門の本柱は丸柱ですが、他の三つの城門は角柱であり、また、角楼の石垣の間に立つ柱も角柱です。
この丸柱と角柱の違いが何を意味するのかは不明ですが興味ある課題といえましょう。
総社市教育委員会

自然観察・見学のルール

総社市役所HPでのルールー事項を掲載します。

かけがいのない自然・文化財を残していくために、次のことは必ず守ってください。
1.植物や動物をとったり、いためたりしない。
2.道以外には踏み入らない。
3.ゴミは自分で持ち帰る。
4.たき火、タバコの投げ捨てをしない。
5.文化財を傷つけない。

当たり前の事ですが、文化財を綺麗に保ちましょう。。

アクセス

所在地 〒719-1101 岡山県総社市奥坂
電話番号 0866-99-8566(総社市鬼城山ビジターセンター)
営業時間 8:30~17:00(総社市鬼城山ビジターセンター)
定休日 月曜日(祝日の場合は翌日)、12月29日~1月3日
交通アクセス 岡山自動車道 岡山総社ICから鬼ノ城ビジターセンターまで約20分、下車西門まで徒歩約15分
※砂川公園から鬼城山ビジターセンターの駐車場までの約3kmは、道幅が狭いので注意してください。
※車幅2.1m、全長7m以内の小型バスのみ通行可能です。
駐車場 普通車30台、バスは小型バスまで乗り入れ可
大型バスは麓の砂川公園まで(駐車場13台)

※最新の情報は直接お問い合わせください。
※写真の無断掲載・使用を禁止します。

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