Okayama dialect ・ 岡山弁
岡山の方言(岡山弁)
「ぼっけえ うまいが!」「そりゃ おえん」。やわらかいのに、ちょっと強く聞こえる岡山弁。よく使う言葉と言い回しを、意味と例文で整理しました。旅先や移住先で耳にしたとき、きっと役に立ちます。
🗣 ぼっけえ🙅 おえん 〜じゃ
Must know
まずはこれ ― 有名な岡山弁
岡山らしさが一番出る言葉を、例文つきで。
ぼっけえ
とても・すごく
「ぼっけえ うまいが!」=すごくおいしい! ※小説の題名「ぼっけえ、きょうてえ」で全国的にも知られます。
おえん
だめ・いけない
「そりゃ おえんで」=それはダメだよ。岡山を代表するひとことです。
きょうてえ
こわい・恐ろしい
「ぼっけえ きょうてえ」=すごく怖い。
たいぎい
だるい・面倒だ
「なんか たいぎいなあ」=なんだかだるいなあ。
みてる
なくなる・尽きる
「醤油が みてた」=醤油がなくなっていた。見る(見てる)とは別です。
いぬ/いのう
帰る
「もう いのうや」=もう帰ろうよ。「往ぬ」に由来する古い言い方。
Vocabulary
岡山弁 単語帳
日常でよく耳にする言葉を集めました(表は横スクロールできます)。
| ことば | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| でーれー | とても(※備中寄り) | でーれー 混んどる。 |
| もんげー | とても(※美作寄り) | もんげー 寒いのう。 |
| よーけ | たくさん | よーけ 食べられ。 |
| こまい | 小さい | こまい 子がおる。 |
| しわい | 硬い/けち | この肉 しわいわ。 |
| おとろしー | 恐ろしい/大変だ | おとろしーほど 人がおる。 |
| ちばける | ふざける・じゃれる | ちばけとったら おえんで。 |
| あんごう | あほ・ばか(軽口) | この あんごうが(笑)。 |
| はよう | 早く | はよう しねーと。 |
| せられん/られん | 〜できない | よー 食べられん。 |
| 〜しとる | 〜している | なにしとん? |
もっと使える岡山弁
| ことば | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| めげる | 壊れる | 茶碗が めげた。 |
| のうなる | なくなる | 財布が のうなった。 |
| ぬくい | 暖かい | 今日は ぬくいなあ。 |
| えらい | 疲れた・しんどい | 今日は えらいわ。 |
| はぶてる | すねる・むくれる | すぐ はぶてるんじゃけん。 |
| つばえる | 調子に乗ってふざける | つばえとったら おえんで。 |
| たわん | (手などが)届かない | 上の棚に 手が たわん。 |
| こそばい | くすぐったい | 首が こそばい。 |
| なんぼ | いくら | これ なんぼ? |
| おらぶ | 大声で叫ぶ | そんな おらばんでも 聞こえる。 |
| ちいと | 少し | ちいと 待って。 |
| どしたん | どうしたの | どしたん、元気ないなあ。 |
Grammar
語尾・言い回しのクセ
岡山弁らしさは、語尾に強く出ます。
| 言い回し | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| 〜じゃ | 〜だ | そう じゃ。/ええ んじゃ。 |
| 〜けん/〜けえ | 〜だから(けえ=備中寄り) | 行く けん。/暑い けえ。 |
| 〜がな/〜が | 〜だよ(念押し) | 言うた がな。/ええ が。 |
| 〜な?/〜ん? | 〜なの?(問いかけ) | 行くん?/どこ行くん な? |
| 〜とる | 〜ている | 降っ とるわ。 |
イントネーションにも特徴があり、語尾がやや上がって聞こえます。同じ岡山弁でも、話す人・世代・地域で少しずつ違います。
旅で使える ひとことフレーズ
これ ぼっけえ うまいが!
これ、すごくおいしい! ― お店で思わず出るひとこと。
なんぼ なん?
いくらですか? ― 値段をたずねるとき。
よーけ あるなあ
たくさんありますね ― 直売所や市場で。
そりゃ おえんわ
それはダメだね ― やんわり断る・たしなめる。
ちいと 教えてくれん?
少し教えてくれない? ― 道をたずねるとき。
もう いのうや
もう帰ろうよ ― 一日の終わりに。
Regions
地域で少し違う ― 備前・備中・美作
旧国ごとに言い回しの色が変わります(※境目はゆるやかで、あくまで傾向です)。
備前(岡山市など)
県都を含むエリア。「おえん」「ぼっけえ」「〜じゃ」「〜が」など、"標準的な岡山弁"のイメージに近い言い回し。
備中(倉敷・総社・高梁・井原など)
「〜けえ」「でーれー」がよく聞かれる西部。広島(備後)に近い言い回しも混じります。
美作(津山・真庭・美作など)
県北。「もんげー」など独特の強調語があり、鳥取・兵庫との言葉のやりとりも感じられます。
ひとくちメモ 桃太郎の鬼「温羅(うら)」の伝説など、岡山は"言葉と物語"の豊かな土地。方言も、その土地の歴史とともに育ってきました。
Read the land ・ 土地から読む
土地から読む岡山弁 ― なぜ地域で違うのか
言葉の違いは、地形と人の行き来がつくります。岡山弁を「土地の履歴」として読み解いてみます。
旧三国の骨格
岡山は長く備前・備中・美作の三国に分かれ、政治や人の行き来はこの単位でまとまってきました。言い回しの"色"も、おおむねこの境目に沿って分かれます(境界はゆるやかで、あくまで傾向です)。
瀬戸内と街道でつながる西
県西部(備中)は山陽道や瀬戸内の海路で備後(広島)との行き来が深く、「〜けえ」「でーれー」といった広島寄りの言い方が連続的に混じります。
中国山地で隔てられる北
県北(美作)は中国山地に抱かれ、鳥取・兵庫とも接します。山で人の流れが分かれるぶん、「もんげー」のような独特の強調語が育ちました。
読み解きのヒント 方言には「文化の中心から波紋のように、古い言葉ほど外側へ残る」という見方(方言周圏論)があります。「いぬ(往ぬ=帰る)」のような古語が今も生きているのは、岡山が長く人と言葉を受けとめてきた土地だからかもしれません。地形と街道の地図を思い浮かべながら読むと、言葉の分布がすっと腑に落ちます。
FAQ
岡山弁 よくある質問
検索でよく聞かれることを、かんたんにまとめました。
Q. 「ぼっけえ」「でーれー」「もんげー」はどう違う?
A. どれも「とても・すごく」の意味です。地域差の傾向があり、ぼっけえは備前〜県全域、でーれーは備中寄り、もんげーは美作寄りでよく使われます。
Q. 岡山弁と広島弁は似てる?
A. 「〜じゃ」「〜けえ」など中国地方に共通する語尾が多く、とくに県西部(備中)は広島(備後)と連続的です。一方で「おえん」「ぼっけえ」など、岡山でよく使う言葉もあります。
Q. 「おえん」ってどういう意味?
A. 「だめ・いけない」という意味。「そりゃ おえん(それはダメ)」のように使う、岡山を代表するひとことです。
Q. 「みてる」が「なくなる」ってほんと?
A. はい。「醤油が みてた=醤油がなくなっていた」。動詞の「見る」とは別の語なので、文脈で見分けます。
文責:おかラボ編集部(岡山在住・家族で県内各地を歩いて記録しています) このサイトについて →