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熊山遺跡 ― 山頂に立つ、ピラミッド形の古代仏塔

標高508m、熊山山頂にそびえる全国唯一の三段方形石積み遺構。奈良時代に築かれたと考えられる仏塔を、家族ハイキングで訪ねた記録です。

熊山遺跡 ― 山頂に立つ、ピラミッド形の古代仏塔

熊山は標高508メートルの山。岡山県南部でもっとも高い山で、吉備王国の中心からすると隅(すみ)っこにあるので「くまやま」と呼ばれています。幾何学的構図をもって築成された石積遺跡で、岩盤を取り入れた基段の上に、方形三段の石積が築成されています。特徴は、二段目の各面に龕(がん)、頂部に深さ2mの竪穴が設けられていること。奈良時代に築かれた仏塔と考えられており、ピラミッドを思わせるその形状から、パワースポットとしても注目されています。むかし何かの雑誌で「ピラミッド」「宇宙人がなんとか」という見出しをチラッと見た記憶がありますが、実際に自分の目で見るまでどんな姿をしているのか想像もつかず、それだけに現地で対面したときの「珍しい姿だ」という驚きは大きなものでした。

熊山遺跡には33ヵ所に及ぶ石積遺構が所在し、その中でも最大の石積遺構1ヵ所を国指定史跡「熊山遺跡」と呼んでいます。ピラミッドを思わせる特殊な三段方形の石積遺構は、昭和31年9月27日に国史跡に指定されました。基壇の中央には竪穴石室があり、高さ162センチメートルの陶製五段重ねの筒型容器が納められていましたが、1937年(昭和12年)に盗掘にあい、現在は行方不明とのことです(筒型容器は奈良県天理市の天理大学に収蔵)。この基壇の目的については戒壇説・墳墓説・経塚説などがありましたが、近年の研究では遺物や龕の存在などから仏塔であったことが判明しています。

熊山遺跡の石積みの写真熊山遺跡の石積みの写真
三段の石積みで築かれた、全国唯一の遺構。
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熊山遺跡散策にはいくつかのルートがあります。今回は熊山側からスタートし、緩やかな谷あいから始まる登山コース。半日ほどかけてゆっくりとハイキング感覚で登れるので、家族連れのハイキングにちょうどよいと思います(道のりが多少長いので、体力があれば小学校低学年から一緒に歩けます)。吉井川沿いの熊山駅周辺、または熊山橋を渡って堤防沿いに進んだ先に見えてくる広い駐車場に車を止めます。周辺はハイキング客で賑わっていることが多く、行楽シーズンは駐車場の空き具合が気になるところです。駐車場そばの案内板に沿って進むと、緑豊かな農道の先に登山道入口があります。

入口から歩くこと10分ほどで、いよいよ登山コースらしい雰囲気に。谷あいを小川沿いに進む道が続き、緑が深まるにつれて気温もすっと下がるのが肌で感じられます(帰りの下山道では、子どもたちが沢で水遊びを始めてしまい、のんびり付き合って帰りました)。今回のハイキングは一番小さな子が幼稚園の年長さんだったので、ペースに合わせてゆっくり歩く時間配分です。体力のある方なら1時間ほどで登頂できるそうですが、私たちの片道所要時間は約2時間ほどでした。

登山道の途中には「蹄岩(ひづめいわ)」と呼ばれる大きな岩があります。あとで調べてみると「1336年、児島高徳の愛馬が岩肌に刻んだ蹄の跡」と紹介する現地看板があるらしいのですが、正直、現地では看板の存在にまったく気づきませんでした(笑)。児島高徳は、頂上付近の熊山神社にもゆかりのある武将。25歳の年、足利尊氏が反旗を翻して九州から攻め上がってきた際、上寺山の館から熊山に旗挙げをして新田義助を助けに行ったと伝わり、熊山神社の境内には、児島高徳が腰掛けたと伝わる岩と、旗を立てたと伝わる岩が前後に並んで鎮座しています。

開けた場所に出ると、ベンチが一つ。座りたい気分でしたが、少し折れかけていて断念(笑)。ふと視線を上げると、まさかの車道が目に入りました。実は熊山遺跡・熊山神社までは車でも行けることに、このとき初めて気づいた次第です。事前に地図をよく見ればわかることですが、ハイキングのつもりで来ていたので、車道のことはすっかり頭から抜けていました。登山が苦手な方は、車で頂上まで行くという選択肢もありです。

ピラミッドを思わせる三段方形の石積み。奈良時代に築かれたと考えられる、全国唯一の仏塔です。

熊山神社・天然杉・展望台

登山道の5合目には休憩所があり、見晴らしが良くなってきます。その先には「竜神二つ井戸(雄竜と雌竜の二つ井戸)」。由来は調べてもはっきりしませんでしたが、登山者のための飲み水として今も利用でき、ここで手と顔を洗うと冷たくて気持ちがよかったです。分かれ道を進むと、国家泰平・牛馬安全の守護神を祀る「熊山神社」に到着します(神社の詳しい由緒や境内の様子は、熊山神社の記録にまとめました)。

熊山神社の山道脇には、樹高38m・幹の直径1.5m・推定樹齢約1000年という「熊山天然杉」二本が立っています。平成12年に赤磐市指定天然記念物に指定されました。推定樹齢1000年というのは、人間の時間感覚ではとても途方もない数字ですが、地球の単位で見ればほんの一瞬の出来事なのかもしれない、などと考えながらしばらく見上げていました。神社から山頂までは目と鼻の先で、徒歩1分ほどで熊山遺跡・展望台に到着します。

頂上の展望台にはベンチがあり、ゆっくり休憩しながらお昼ご飯を楽しめました。あいにく天気は今ひとつでしたが、それでも見晴らしは十分良好。展望台には有料(100円)の双眼鏡が設置されていましたが、なぜか硬貨を入れなくても覗くことができ、子どもたちと一緒に麓の岡山の街並みを一望しました。

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遺跡の構造

熊山遺跡は、弥生時代以前より原始信仰が行われていた磐座(いわくら)の上に、流紋岩を正方形に組み上げた建造物です。一辺11.7メートルの方形基壇の上に、一段目は一辺7.7メートル・高さ1メートル、二段目は一辺5.2メートル・高さ1.2メートル、三段目は一辺3.5メートル・高さ1.2メートルの方形に石積みが築造されています。二段目には仏像などを納める厨子と思われる四角い横穴(龕)が4面に開けられています。この基壇の周囲には、室町時代前期頃まで霊山寺という寺院がありました。基壇の目的については戒壇説・墳墓説・経塚説などがありましたが、近年の研究により遺物や龕の存在などから仏塔であったことが判明しています。熊山の標高350メートル以上には、大小32基にも及ぶ類似の基壇の遺構が確認されています。

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情報確認:2026年8月 ※アクセス・登山道の状況などは変わることがあります。おでかけ前に、公式情報での最新のご確認をおすすめします。

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気になった場所から、岡山の旅をつなげてみてください。

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