倉敷市の西部に位置する玉島は、かつて北前船が寄港した港町として栄え、今も古い町並みや路地に往時の面影を残す土地です。その玉島にあって、地元の人びとに古くから信仰されてきたのが真言宗の寺、遍照院(へんじょういん)です。
この寺は、「玉島の厄除け大師」と呼んで親しまれてきました。弘法大師(空海)を宗祖とあおぐ真言宗のお寺らしく、厄除けの祈願所として知られ、年の始まりや節分の時季になると、家族の無事や一年の安全を願う人びとが足を運びます。
わが家がお参りしたのは、正月をすぎた冬の日でした。門をくぐると、線香の香りとろうそくの灯りが静かに漂い、参拝を終えた人が手を合わせて頭を下げていきます。派手さはないけれど、地域にしっかり根づいた「暮らしのなかの祈りの場」という空気が、とても心地よく感じられました。
遍照院の本堂と参拝者見どころ・特色
玉島の「厄除け大師」
遍照院の名を地元で有名にしているのが、厄除けの信仰です。厄年を迎えた人や、その家族が、無事に一年を過ごせるようにと祈願に訪れます。「厄除け大師」という親しみのこもった呼び名には、代々この寺に手を合わせてきた玉島の人びとの暮らしが重なっています。
真言宗の祈りの寺
遍照院は、弘法大師・空海を宗祖とする真言宗の寺院です。堂内には、祈祷を行う静かな時間が流れ、旅の記念というより「気持ちを整えに来る場所」といった趣があります。にぎやかな観光地とは違う、落ち着いた参拝ができるのがこの寺の魅力です。
港町・玉島の面影とともに
寺のまわりに広がる玉島は、北前船の時代に商いでにぎわった港町。細い路地や古い建物が残り、歩くだけでも懐かしい気持ちになります。お参りのあとに界隈をそぞろ歩けば、玉島という土地そのものの歴史も感じられます。
年中行事とにぎわい
遍照院がとくに人を集めるのは、年始と節分の時季です。初詣には、一年の無事を願う参拝者が続き、静かな境内がいつもよりにぎやかになります。そして節分のころには、厄除けの祈願を受けに訪れる人が増え、寺全体があらたまった空気に包まれます。
こうした行事の日は、ふだんとは違う特別な雰囲気を味わえる一方で、周辺は混み合いやすくもなります。落ち着いてお参りしたい場合は時季をずらし、行事のにぎわいを楽しみたい場合はあえて時季を合わせる――目的に応じて訪ねる日を選ぶのがおすすめです。日程や祈願の受付方法は年によって変わることがあるので、事前の確認が安心です。
おでかけメモ
お参りだけなら、境内をゆっくり歩いて20〜30分ほど。厄除けの祈願を受ける場合は、受付や待ち時間を含めて、少し余裕をもった時間配分にしておくと安心です。子ども連れのときは、静かにお参りする場であることを一声かけてから境内に入ると、落ち着いてまわれます。
玉島は町歩きが楽しいエリアなので、お参りとあわせて古い町並みをそぞろ歩くのがおすすめ。少し足をのばせば、良寛ゆかりの静かな山寺円通寺があり、玉島らしい歴史散歩がつくれます。倉敷の中心まで戻れば、白壁と柳並木が続く倉敷美観地区も。玉島から美観地区へと、倉敷の別々の顔を一日でつなげてみるのも楽しい旅になります。
現在の情報|アクセス
上の「見どころ」は実際に歩いた旅の記録です。こちらは施設の基本情報(変わることがあります)。
所在地:岡山県倉敷市玉島柏島(真言宗御室派)
アクセス:JR山陽本線「新倉敷駅」からバスまたは車で玉島方面へ
※初詣・節分などの行事日は周辺が混み合うことがあります。
情報確認:2026年8月 ※開館時間・料金・行事は変わることがあります。おでかけ前に公式でご確認ください。



