阿哲台 ― 秋吉台と並ぶ、岡山のカルスト台地
新見の山あいに、石灰岩でできた白い台地が広がっています。地表には擂鉢状のくぼみが点々と、地下には百近い鍾乳洞。雨を地の中へ吸い込む、ふしぎな大地の物語です。
石灰岩がつくった台地
阿哲台(あてつだい)は、新見市の中南部から真庭市の南西部にかけて広がるカルスト台地です。東西におよそ十八キロメートル、南北におよそ十二キロメートル。山口県の秋吉台と並ぶ、日本有数の規模をもつカルストとされています。
台地をつくるのは、阿哲石灰岩層群と呼ばれる分厚い石灰岩。その厚さはおよそ六百メートルにも及び、台地の面は標高およそ五百〜六百メートルの高さにあります。はるか昔の海でつくられた石灰岩が、長い時間をかけて隆起し、いまの台地になりました。
ドリーネと、地下の鍾乳洞
石灰岩は、雨や地下水にゆっくりと溶かされていく岩です。そのため台地の上には、擂鉢(すりばち)のような丸いくぼみ——ドリーネが、あちこちに口を開けています。溶け残った岩が地表に並ぶカッレンフェルトも見られ、これらはカルスト地形ならではの風景です。
そして地下では、水が石灰岩を溶かしながら流れ、長い年月をかけて洞窟をつくりました。井倉洞(いくらどう)や満奇洞(まきどう)、羅生門、鬼女洞など、阿哲台には百か所近い鍾乳洞があるといわれます。地上のなだらかな台地の下に、もうひとつの世界が広がっているのです。
水が地の中を流れる土地
カルストでは、降った雨の多くが地表を流れず、地面に吸い込まれて地下水になります。そのため地表の川は乏しく、稲作には向きませんでした。土地の性質が、そこでの暮らし方まで決めてきたのです。
阿哲台は、なだらかな吉備高原や、三大河川をうんだ中国山地とひとつながりの、県北の大地の一部です。石灰岩をくぐった水は、やがて高梁川へと集まっていきます。
カルストを歩く
鍾乳洞や台地の風景は、新見のまちからたどれます。ひんやりとした洞窟に入れば、水が岩を溶かしてつくった時間の長さを、肌で感じられるはずです。

