岡山のものづくり
― 土と、布と、竹
良い土、豊かな綿花、まっすぐな竹。岡山は、手仕事を育てる素材に恵まれた土地でした。日本六古窯で最も古い備前焼、国産ジーンズ発祥の地・児島のデニム、国指定伝統的工芸品の勝山竹細工。三つの素材から、岡山の「ものづくり」をたどります。
素材に恵まれた土地の、手仕事
ものづくりは、まず素材から始まります。焼き物には粘り強い良質な土、織物には綿花と藍、竹細工にはまっすぐで丈夫な竹――岡山はそのどれもに恵まれてきました。だからこそ、平安の昔から続く焼き物から、世界が注目する現代のデニムまで、幅広い手仕事がこの土地で育ってきたのです。ここでは土(備前焼)・布(デニム)・竹(勝山竹細工)の三つの素材からたどります。
備前焼 ― 土と炎が生む、一点もの
PHOTO ・ 備前焼
備前焼は、瀬戸・常滑・信楽・丹波・越前と並ぶ「日本六古窯(ろっこよう)」のひとつで、そのなかでも最も古く、約1000年の歴史をもつと伝えられます。備前市の伊部(いんべ)地区が中心で、「伊部焼」とも呼ばれてきました。
最大の特徴は、釉薬(うわぐすり)を一切使わず、絵付けもしないこと。窯のなかで薪の灰がかかり、炎の当たり方や置かれた場所で色や模様が変わる「窯変(ようへん)」こそが景色になります。だから同じものは二つとありません。一〜二週間かけて高温で焼き締めるため、「投げても割れない」と言われるほど頑丈。2017年には日本遺産「きっと恋する六古窯」に認定されました。
児島・井原のデニム ― 学生服から、世界へ
PHOTO ・ 児島デニム
倉敷市の児島(こじま)は、古くから綿花の栽培が盛んで、江戸時代から繊維の町として栄えました。かつては全国の学生服の多くを生産した町で、そこで培われた「厚い生地を縫う」高度な技術が、次の時代を開きます。1960年代、この技術を活かして国内初のジーンズ縫製が始まり、児島は「国産ジーンズ発祥の地」と呼ばれるようになりました。
隣接する井原(いばら)もまた、江戸の天保年間(1830〜44年)に藍の栽培が盛んになったことを起点に藍染織物の産地となり、一時は国産ジーンズ用生地の約7割を生産。今では、その高品質なデニム生地が欧米の高級ブランドにも使われています。学生服から世界のデニムへ――技術は受け継がれています。
勝山竹細工 ― 青竹の、素朴な強さ
県北・真庭市の勝山周辺に伝わる竹細工。江戸末期の1860年ごろ、月田(みつだ)地区の農家が農作業や暮らしに使う「そうけ(笊)」を編み始めたのが起こりと伝えられます。1979年には国指定の伝統的工芸品に認定されました。
特徴は、地元の真竹(まだけ)を白竹にせず、皮も剥かない「青竹」のまま使うこと。ほかの竹細工の産地では珍しい手法で、素朴で頑丈。使い込むほどに青竹はゆっくりと飴色(あめいろ)へと変わり、道具に育っていきます。米揚げざるや野菜かごなど、暮らしに根ざした形が今も作られています。
