石灰岩は、古い海のなごり
羅生門をかたちづくる石灰岩は、はるか昔の海でつくられた岩です。サンゴや小さな生き物の殻が海の底に積もり、押し固められて岩となり、やがて陸へと持ち上げられました。いわば、この山はもともと海の底だったのです。
石灰岩は、雨水や地下水にゆっくりと溶ける性質があります。長い年月のあいだに水が岩を溶かし、地中に空洞(鍾乳洞)や、地表のくぼみ(ドリーネ)をつくる——こうしてできる独特の地形を「カルスト」と呼びます。
阿哲台という、大きなカルスト台地
羅生門があるのは、新見市を中心に広がる阿哲台(あてつだい)というカルスト台地。標高およそ四百メートル、東西に約十八キロ、南北に約十二キロという広がりで、山口県の秋吉台と並ぶ、日本有数の規模を誇ります。台地の上には、無数の鍾乳洞やドリーネが点在しています。
天井が落ちて、門になった
羅生門は、もとは大きな鍾乳洞でした。その天井の一部が崩れ落ち、崩れずに残った部分が、橋のようなアーチとして空に架かった——それが、いまの姿です。門は第一門から第四門まであり、第一門は高さおよそ三十八メートル、幅十七メートル。見上げると、その大きさに圧倒されます。
その価値は早くから認められ、一九三〇年(昭和五年)に国の天然記念物に、二〇〇七年には「日本の地質百選」にも選ばれています。岩肌はひんやりと湿り、まわりには水を好む植物が茂ります。門の内側は、外とは別の時間が流れているようです。
羅生門を訪ねる
大地の時間が、そのまま風景になった場所。県北の石灰岩がつくった造形を、記事からたどってみてください。足もとが滑りやすいので、歩きやすい靴でどうぞ。
情報確認:2026年8月 ※現地の遊歩道の状況や見学の可否は変わることがあります。落石や足もとにも注意し、おでかけ前に新見市など公式情報での最新のご確認をおすすめします。
🌏 この記事は特集「岡山の大地の物語」の一編です。/ 🗺 新見市のエリアガイドもどうぞ。


