県北を走る ― 山崎断層帯と那岐山断層帯
岡山でとくに知られる活断層が、県東部から兵庫県へ抜ける山崎断層帯です。そのグループには、岡山側の那岐山断層帯も含まれます。地震調査研究推進本部の評価では、次のように整理されています(数値はおおよその目安・評価は更新されます)。
| 断層 | およその場所 | 特徴 | 想定規模/評価 |
|---|---|---|---|
| 那岐山断層帯 | 鏡野町〜奈義町(県北・美作) | ほぼ東西・約32km。北側が相対的に隆起 | M7.3程度/比較的高い評価(Aランク) |
| 山崎断層帯 主部(北西部) | 美作市〜兵庫県側 | 左横ずれが卓越 | M7.8程度/県周辺で最も注意される区間 |
| 山崎断層帯 主部(南東部) | 兵庫県側へ | 左横ずれ | M7.3程度 |
| 長者ヶ原-芳井断層 ほか | 県西(井原・芳井方面)ほか | 県内には他にも小規模な活断層が点在 | — |
ここで大事なのは、確率の大小よりも「岡山にも、動く可能性のある断層が確かにある」という事実です。那岐山断層帯は美作の山あいを東西に走り、その北側が長い時間をかけて少しずつ持ち上がってきました。断層は、遠い話ではなく、足元の地形の中にあります。
断層がつくった風景 ― まっすぐな山際を歩く
活断層は、地図の上の線であると同時に、目に見える地形でもあります。断層に沿って大地がずれ続けると、山と平地の境目が不自然なほどまっすぐになったり、川がある地点でカクンと折れ曲がったり、細長い谷が一直線に伸びたりします。地質の専門家は、こうした「地形の癖」から断層のありかを読み取ってきました。
県北の山あいを歩くと、まっすぐ連なる山の際(きわ)や、直線的な谷筋に出会うことがあります。それは風景であると同時に、大地が動いた記録でもあります。〈地図で見る岡山〉で地形の高低や治水地形分類図を重ねると、平地と山地の境目や旧河道が浮かび上がり、土地の凹凸を自分の目で確かめられます。
海からの揺れ ― 南海トラフと、昭和南海地震の記憶
岡山にとって、内陸の断層と並ぶもう一つの地震が、四国の沖に横たわる南海トラフの巨大地震です。ここでは約百〜二百年の間隔で繰り返し巨大地震が起きてきました。政府の評価では、今後の発生可能性は高いとされています(M8〜9級/今後30年で60〜90%程度以上)。震源が四国沖から紀伊半島沖にかかる場合、岡山も強い揺れと、瀬戸内側の津波の影響を受ける可能性があります。
実際に、1946年(昭和21年)の昭和南海地震(M8.0)では、岡山県でも死者・負傷者が出て、住家の全壊も多数にのぼりました。とくに児島湾北岸や高梁川の下流域——つまり干拓や河川がつくった、やわらかい低地で被害が大きかったと記録されています。土地の成り立ちは、揺れの伝わり方にもつながっています。
| 年 | 地震 | 岡山への影響(記録より) |
|---|---|---|
| 868年 | 播磨国地震(M7.1) | 県東部に近い内陸の大地震 |
| 1711年 | 美作・伯耆の地震(M6.5〜6.8) | 県内で家屋の全壊が多数。記録に残る県内最大級の被害 |
| 1946年 | 昭和南海地震(M8.0) | 県南で死者・全壊多数。児島湾北岸・高梁川下流で被害大 |
| 2000年 | 鳥取県西部地震(M7.3) | 県北で強い揺れ |
| 2016年 | 鳥取県中部地震(M6.6) | 県北で揺れを観測 |
※ 規模(M)や被害は資料により幅があります。おおよその目安としてご覧ください。
「少ない」は「ない」ではない
岡山が穏やかな土地であることは、確かです。けれど、県北には動く可能性のある断層があり、南の沖には南海トラフが控えています。土地の成り立ちを知ることは、「ここはどんな揺れ方をする土地か」を考える手がかりになります。やわらかい低地なのか、硬い高原なのか——それだけでも、備えの意味は変わってきます。


