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Chapter 1 ・ 生まれる
柵原鉱山と、海への道
物語のはじまりは、山の奥の鉱山でした。柵原鉱山は、かつて東洋一とも称された硫化鉄鉱の大鉱山。硫酸などの原料となる鉱石は、当時の日本の産業に欠かせないものでした。問題は「どう運ぶか」。山あいの鉱石を、船に積める港まで大量に運ぶには、鉄道がいちばん。こうして片上鉄道が敷かれ、山の鉱石は吉井川ぞいを下って片上港へ、そして全国へと送り出されていったのです。
Chapter 2 ・ 消える
鉱山が止まり、鉄路も止まった
鉄道の運命は、鉱山と一心同体でした。時代が変わり、円高などで国内の硫化鉄鉱の需要が減ると、鉱石の産出も細っていきます。わずかに残る輸送もトラックに切り替わり、鉱石という“背骨”を失った鉄道は、経営が立ちゆかなくなりました。そして1991年(平成3年)7月1日、片上鉄道は廃止。約70年にわたって山と海を結んだ鉄路は、静かに役目を終えました。産業に生まれ、産業とともに消える――鉱山鉄道の宿命でした。
Chapter 3 ・ 道になる
線路は、みんなの道に
けれど、鉄路は消えても、その道すじは残りました。片上から吉ケ原までの線路跡は、サイクリングロード「片鉄ロマン街道」として整備され、2003年に開通。トンネルや鉄橋、駅の跡をたどりながら、吉井川の景色のなかを走れる人気のコースになっています。終点ちかくの旧・吉ケ原駅は、柵原ふれあい鉱山公園として保存され、当時の車両が今も大切に守られています。鉱石を運んだ鉄路は、いま、人を運ぶ道として第二の人生を歩んでいるのです。
⚠ 保存車両の運行日や鉱山公園・レンタサイクルの営業は、日や季節で変わります。おでかけ前に、公的な最新情報をご確認ください。サイクリング中は歩行者や地域の方への配慮も忘れずに。


