Introduction
峠は、地形が決めた通り道
道は、まっすぐ引けるものではありません。山があれば、越えられる場所は限られます。尾根がいちばん低くくぼんだ鞍部――そこを人は選び、けものみちが道になり、やがて街道になりました。だから峠の位置は、地形が決めているのです。峠はまた、多くが県境であり、雨水が別々の川へ流れ出す分水嶺でもあります。越えれば、言葉も暮らしも少し変わる。峠は「土地の境目」そのものなのです。街道の全体像は〈岡山を貫いた街道〉へ。
Sponsored
Passes ・ 四つの峠
岡山と、となりの国をつなぐ峠
岡山の北縁・東縁には、鳥取や兵庫との境をなす峠が連なります。それぞれに、街道の記憶と土地の物語があります。
| 峠 | 標高 | つなぐ土地 | 街道・特徴 |
|---|---|---|---|
| 四十曲峠 しじゅうまがり | 約780m | 新庄村 ↔ 鳥取・日野 | 出雲街道の難所。曲がりくねった峠道が名の由来 |
| 人形峠 にんぎょう | 約740m | 鏡野・上齋原 ↔ 鳥取・三朝 | ウラン鉱が見つかったことで知られる。吉井川源流の近く |
| 明地峠 あけち | 約690m | 新見 ↔ 鳥取・日野 | 雲海の名所。高梁川の源流域に近い峠 |
| 志戸坂峠 しとさか | — | 美作・大原 ↔ 鳥取・智頭 | 因幡街道(智頭往来)の峠。鳥取藩の参勤交代の道 |
※標高・呼称・区分には資料により差があります。県東部の山陽道には、兵庫・赤穂と結ぶ船坂峠もあります。
Story ・ 峠と宿場
峠のふもとに、宿場ができた
峠越えは、旅の最大の難所でした。だから、峠の手前には旅人が身を休める宿場ができます。出雲街道の四十曲峠のふもと・新庄は、峠越えを控えた旅人でにぎわう本陣・宿場町として栄えました。因幡街道の志戸坂峠の手前には、水路の流れる宿場・大原の町並みが残ります。峠という「地形の関門」が、そのまま「まちが生まれる場所」を決めていたのです。


