全長200mを超える前方後円墳が集まるのは、全国でも吉備と畿内くらい。ここでは、実際に墳丘へ登ったり石室に入ったりできる、吉備を代表する大古墳を紹介します。

墳丘の全長はおよそ350m。全国でも4番目という巨大な前方後円墳でありながら、宮内庁の管理する陵墓ではないため、誰でも実際に墳丘へ登ることができます。てっぺんまで歩いて、その大きさを足で実感できるのが最大の魅力。吉備の王がふるった力の大きさを、身をもって感じられる一基です。

造山古墳とならぶ吉備の大古墳で、全長は282m。天皇陵に指定されていないため、こちらも墳丘に立ち入って歩くことができます。丘そのものが一つの古墳になっており、周囲の田園から眺めると、その伸びやかな前方後円のかたちがよくわかります。造山古墳とあわせて訪ねると、吉備の勢力の厚みが見えてきます。

備中国分寺のほど近くにある前方後円墳で、吉備の大首長の墓と考えられています。見どころは、全国でも屈指の規模を誇る横穴式石室。巨石を積み上げた石室の内部へ実際に足を踏み入れ、古代の埋葬空間をまぢかに見学できます。大きな古墳を「上から」ではなく「中から」味わえる、貴重な一基です。
巨大古墳が造られる前の弥生時代から、吉備には力を持つ首長がいました。墳丘墓・円墳・方墳、そして古墳群。かたちの違いに、時代のうつり変わりが刻まれています。

住宅地の中の丘陵に、総数およそ60基もの古墳が保存された歴史公園です。中心となる楯築遺跡は、弥生時代後期の大きな墳丘墓で、頂には巨石が環状に立ち並びます。前方後円墳が生まれる前夜、吉備の王がすでに大きな墓を築いていたことを物語る場所。王墓山古墳や日畑廃寺跡もあわせて、時代の重なりを歩けます。

備前市畠田、丘陵の頂に築かれた岡山県内最大級の円墳で、国の史跡に指定されています。彫刻文様のある石棺や、30面を超える銅鏡が出土したことで知られ、古墳時代前期にこの地を治めた有力者の墓と考えられています。前方後円墳とはまた違う、まるい墳丘のかたちに古代の格式が表れています。

四角い墳丘の「方墳」としては吉備でも最大級の古墳です。墳丘の上には、県の天然記念物に指定された樹齢450年ともいわれる立派なクロマツがそびえ、古墳と巨木が一体となった独特の風景をつくっています。すぐ隣のキリギリ山古墳では石室も見学でき、円墳・前方後円墳とはひと味違う方墳の姿を楽しめます。
古墳の時代が終わったあと、吉備の山には巨大な城が築かれました。山ひとつをぐるりと城壁で囲む、日本の古代山城。その代表格が鬼ノ城です。

標高400mほどの鬼城山の山頂を、およそ2.8kmにわたって城壁がぐるりと取り囲む古代山城です。復元された白い西門が青空に映え、そこから眼下に吉備平野が大きく開けます。誰が、何のために築いたのか、いまも謎の多い城で、桃太郎の鬼退治の舞台になったとも語り伝えられてきました。古墳とはまた違う、古代のスケールを体感できるハイキングコースです。
古墳や古代山城は、駅前観光地とは少し勝手が違います。ちょっとした準備で、快適さも楽しさもぐっと変わります。
墳丘や山城は、舗装されていない土や草の道を登ることが多い場所です。スニーカーなど歩きやすい靴で。雨あがりはぬかるむこともあります。
夏場は墳丘に草が生い茂り、虫も多くなります。長袖・虫よけ・帽子・飲みものを用意し、朝夕の涼しい時間帯がおすすめです。
出土品や復元模型を先に見ておくと、現地での見え方が変わります。近くのガイダンス施設や資料館とセットにすると理解が深まります。
墳丘や石室は貴重な文化財です。石や埴輪に登ったり触れて傷つけたりせず、静かに、ゴミは持ち帰って見学しましょう。