旧遷喬尋常小学校 ― シンメトリーの木造校舎
真庭市久世に建つ旧遷喬尋常小学校(きゅうせんきょうじんじょうしょうがっこう)は、明治40年(1907)の建築で、国指定重要文化財。設計は岡山県の技師・江川三郎八(えがわさぶろうはち)です。左右対称(シンメトリー)の擬洋風(ルネサンス様式)建築で、現存する「江川式」擬洋風建築では最大規模。いちばんの見どころは、2階中央の講堂を飾る二重折り上げの格天井(ごうてんじょう)。迎賓館を思わせる豪奢な内装です。平成2年(1990)に小学校としての役目を終えて一般開放され、入場は無料。映画・ドラマのロケ地としても知られ、レトロ給食体験などのイベントが行われることもあります(実施は要問合せ)。
旧吹屋小学校 ― ベンガラの町の、学び舎
高梁市成羽町吹屋――ベンガラ(酸化鉄の赤い顔料)で栄えた、赤い町並みの中に建つ木造校舎です。東・西校舎は明治33年(1900)、本館は明治42年(1909)の建築で、岡山県指定重要文化財(※国指定ではなく県指定です)。本館を設計したのは、遷喬と同じ江川三郎八。2012年(平成24)3月まで「現役最古級の木造校舎」として実際に使われていました。2015〜2022年の保存修理を経て、2022年4月に観光施設として再公開。本館2階講堂の折上天井とトラス構造、日本遺産「ジャパンレッド(ベンガラ)」の展示が見どころです。
旧閑谷学校 ― 学びの源流
三つ目は、少し性格が異なります。旧閑谷学校(きゅうしずたにがっこう)は近代の「小学校」ではなく、江戸時代に岡山藩主・池田光政が庶民のためにつくった学校で、世界最古級の「庶民のための公立学校」ともいわれます。寛文10年(1670)創建、現在の講堂は元禄14年(1701)の完成。備前焼の瓦で葺かれた講堂は国宝、聖廟や閑谷神社など多くの建物が重要文化財、そして敷地全体が特別史跡に指定されています。秋には校門前の楷(かい)の木が紅葉し、静かな山あいが赤や黄に染まります。近代の校舎とあわせて訪ねたい、「学び舎の源流」です。
三つの学び舎を、くらべてみる
建てられた時代も、文化財としての格も、それぞれに違います。おでかけの計画に、まずは一覧で。
| 名称 | 所在地 | 建築年 | 文化財区分 |
|---|---|---|---|
| 旧遷喬尋常小学校 | 真庭市久世 | 明治40年(1907) | 国指定重要文化財 |
| 旧吹屋小学校 | 高梁市成羽町吹屋 | 本館 明治42年(1909)/東・西校舎 明治33年(1900) | 岡山県指定重要文化財 |
| 旧閑谷学校 | 備前市閑谷 | 講堂 元禄14年(1701)※創建 寛文10年(1670) | 講堂=国宝/敷地=特別史跡ほか |


